疾患紹介
膝・肩・肘・スポーツグループ
膝前十字靭帯損傷、半月板損傷などの手術は関連病院と提携して治療にあたっています。 変形性関節症の患者さんに対しては、年齢、活動性に応じて人工関節置換術、関節を温存する骨切り術などを行っています。
患者さん一人一人のニーズを考慮したうえで、最適な治療を提案できるよう心がけています。
前十字靭帯再建術
膝のスポーツ外傷では最も多い、前十字靭帯の断裂による膝不安定性に対して行います。
自家腱を用いた解剖学的2重束再建を行っています。4日程度の入院が必要です。
![]() 術後3D-CT |
![]() 靭帯再建時 |
![]() 治癒(術後1年) |
半月板縫合術
怪我による半月板の断裂にたいして行います。3、4日の入院が必要です。
治癒を促進させるフィブリンクロットの併用や、荷重配分を変えて半月板への負担を少なくする骨切り術の併用により、可能な限り半月板の温存を目指しています。
(骨切り術を併用した場合、リハビリのため2週間程度の入院となります。)
![]() フィブリンクロット使用した縫合術 |
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![]() |
半月板後角断裂に対する骨切り術を併用したプルアウト縫合 |
変形性膝関節症に対する人工関節置換術
変形の程度、病態に応じて最適な手術を提案しています。 約2週間の入院が必要です。
変形が高度で動きの悪くなった膝には全置換術(TKA)をおすすめしています。
両膝の変形がある場合には両膝同日手術も行っています。(年齢制限あり)
内か外一方のみの変形で、動きのいい膝には単顆置換術(UKA)をおすすめしています。
膝の靭帯をすべて温存できるため、膝の自然な動きを妨げません。
![]() (TKA:高度な変形にも対応) |
![]() (UKA:靭帯を温存し、生理的な膝を再現) |
膝周囲骨切り術
下肢のアライメントを変えることで偏った負担を分散し痛みを緩和する、関節温存手術です。
比較的若い方の変形性関節症や、制限なくスポーツの継続を希望される場合に行います。
痛みが改善するだけでなく、見た目にもまっすぐできれいな脚になります。
![]() O脚を至適なアライメントに矯正 |
![]() 骨切り部に人工骨を入れ、プレートで固定 |
肩・肘
反復性肩関節脱臼
肩関節は大きな可動性を持つ一方、ヒトの大関節の中で一番脱臼しやすい関節です。一度脱臼すると関節を包んでいる袋(関節包)が緩み、以前よりも小さい力でも外れやすくなります。
![]() 図1A |
![]() 図1B |
関節造影MRIを供覧します(図1A)。青丸が断裂した関節包(関節上腕靭帯)、赤丸が脱臼時に起きた骨折です。傷の小さい関節鏡視下手術で断裂した関節上腕靭帯を修復する手術(鏡視下バンカート修復術:図1B)を第一選択としますが、損傷の程度(骨欠損の有無)やスポーツ種目などを考慮し術式を選択しています。
野球肘
離断性骨軟骨炎
10歳前後に好発します。初期の段階(図2A)で発見されれば投球を禁止することで治ることが多いですが、進行して骨が剥がれてしまうと(図2B)手術が必要になります(図2C)。初期は症状があまりないので病院を受診することが遅れがちになります。名市大肩肘グループではエコーを用いた野球肘検診を行っておりますので希望される方はご連絡ください。
![]() 図2A |
![]() 図2B |
![]() 図2C |
内側側副靭帯損傷
小中学生では剥離骨折が多いのですが、骨成長が完了すると靭帯が損傷するので治りにくくなります(図3A)。手術をせずに復帰を目指すのが第一選択ですが、損傷がひどく復帰が難しい場合は靭帯再建術(トミージョン手術)を行っています(図3B)。
![]() 図3A |
![]() 図3B |